総門をくぐり、石段を登ると右手に見える趣深い建物が、瑞龍閣です。正面に大唐破風(おおからはふ)の曲線屋根が印象的な玄関が開かれています。
に建築された、総檜造りの二階建ての建物で、安土桃山時代を彷彿とさせる書院造り風です。築地本願寺の本堂を復興させた建築家伊東忠太の弟子である金子清吉が設計を手掛け、平成26年(2014年)に国の登録有形文化財に指定されました。一階の6部屋を歩くと、まるで迷宮に迷い込んだような気持ちになります。二階には50畳の広間「牡丹の間」「菊の間」、合わせて100畳の大空間が広がっています。2部屋の境にある欄間彫刻や、折り上げ格天井から吊るされた和製シャンデリアが豪華です。また、窓の外を眺めると、袋井の町並みが眼下に広がります。
山口玲熙画伯が40年かけて完成させた大作で、梅、鶴、桜、菖蒲、藤、牡丹、菊などの花鳥風月が描かれています。華やかな格天井と調和する襖絵の花鳥画や欄間は、部屋ごとに移りゆく季節を楽しむことができます。床脇や障子の腰板に慎ましく咲く草花にもぜひ目を向けてください。よく見ると、下描きの黒い線だけが残る未完成の部分もあります。制作年代によって変化する画風やモチーフに合わせて変えられた筆触は、長い年月をかけて作り上げられたこの空間をより趣深いものにしています。この襖絵は、一度見た時、二度見た時、また年齢と共に見え方が変わってくるとも言われています。
明治27年(1894年)に誕生し、菊池芳文、菊池契月に師事。大正元年(1912年)「今朝の秋」で文展初入選以後も帝展を中心に活躍し、戦後は日展に出品。花鳥画を得意とし、昭和39年(1964年)京都御所の襖絵を制作しました。東京文化財研究所の略年譜には、昭和44年(1969年)秋葉総本殿可睡齊ニ高階瓏仙禅師像揮毫、昭和50年(1975年)秋葉総本殿可睡齊大襖絵完成としてあります。