可睡斎は寺院内の拝観(有料)も可能です。静寂な諸堂内を歩くと、三つ葉の葵の紋が見事な徳川家の御霊屋がある本堂、日本一のトイレとして有名な大東司、雲水達の修行の場である僧堂、山口玲熙画伯が40年かけて完成させた天井画や襖絵が美しい瑞龍閣などを拝観することができます。また、季節の催し物も開催されております。
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拝観時間 午前8時~午後4時30分
拝観志納金 700円
※20名以上の団体様には修行僧による解説をさせて頂きます。
萬松閣
山門をくぐって右手にある萬松閣の一階は、近代的で広々とした総受付となっています。ホールには下駄箱が並び、拝観、御朱印、お札の受付を行っています。二階は、可睡斎が貯蔵する寺宝の一部を展示する宝物館があります。
大東司(だいとうす)~トイレ~
大東司は、萬松閣の東側に建つ約8m四方の木造平屋の建物です。昭和12年に建築された男女兼用水洗式トイレで、中央に祀られている日本一の烏蒭沙摩明王像は、高村晴雲の一代傑作です。健康を守るトイレの仏様であり、国登録有形文化財です。大東司の上部には天蓋のような円形の換気口が設けられ、欄間に組子細工を飾るなど趣があり、今でも現役で使用されています。>「大東司(トイレ)」の詳しい情報はこちら
瑞龍閣(ずいりゅうかく)
正面に大唐破風(おおからはふ)の曲線屋根が印象的な玄関が開かれています。昭和12年に建築された、総檜造りの二階建ての建物で、安土桃山時代を彷彿とさせる書院造り風です。一階には6部屋、二階には50畳の広間「牡丹の間」「菊の間」があり、合わせて100畳の大空間が広がります。襖絵は、山口玲熙画伯が40年かけて完成させた大作で、梅、鶴、桜、菖蒲、藤、牡丹、菊が描かれています。華やかさの中に奥深さを感じる作品となっています。国登録有形文化財です。>「瑞龍閣」の詳しい情報はこちら
本堂
本堂は、朝、昼、夜のお勤めを365日休むことなく行う場であり、きらびやかな天蓋が本堂中央に吊るされ、威風堂々とした雰囲気が漂っています。正面の須弥檀には、可睡斎のご本尊様である聖観世音菩薩が祀られています。
徳川家御霊屋(おたまや)
壁に掛けられた東照大権現の額は徳川家康公の神号で、1617年に後水尾天皇から勅諡(ちょくし)されたものです。三つ葉の葵の紋が散りばめられている徳川家の御霊屋には、徳川家康公をはじめ、歴代将軍、先祖代々のご位牌が祀られています。
梵鐘
天井に懸けられている梵鐘は、室町時代(1518年)に鋳造されたと伝わる静岡県の重要文化財です。朝のお勤めの際に美しい音が本堂に響きます。
網代駕籠
天井を見上げると、公儀寺格(こうぎじかく)公儀掟め(こうぎさだめ)網代駕籠(あじろかご)が吊るされています。この駕籠は、可睡斎住職が江戸に出向く時に使用を許されたもので、この他に対狭箱、長柄など15名、江戸城登城は加賀前田家の協力で54名が御供したと伝わります。
韋駄天(大書院)
大書院の一角に韋駄天が祀られています。韋駄天は、足の速い仏様で、食べ物などを素早く集め、盗難除けの神として知られています。僧侶たちは大書院の前を通ると必ず立ち止まり、韋駄天を拝みます。右の壁面には日本画家佐藤雅氏が描いた韋駄天が描かれています。
僧堂(坐禅堂)
本堂から地下通路を通って、僧堂に出ることができます。雲水が畳一畳で寝泊まりする修行の場です。中央には僧の形をした文殊菩薩様が坐禅をする人々を静かに見つめています。宿泊者が、朝5時から雲水達と一緒に坐禅体験をする場所です。
御真殿
厳かで仄暗い御真殿には、「唵毘羅毘羅乾毘羅乾能裟婆訶(オンピラピラケンピラケンノソワカ)」※1 と書かれた掛け軸があります。火防をはじめ、幸福祈願の一代道場であり、御祈祷を行う場所です。365日休むことなく朝昼夜のお勤めを行っており、その声は境内に響き渡ります。拝観の方は、11時頃・16時頃のお勤めの見学・同席が可能です。
開山堂
本堂の背後には、立ち入るのを思わずためらってしまうような、厳粛な空気が漂う開山堂があります。正面には、日本における曹洞宗の開祖、永平寺開山道元禅師様と總持寺開山瑩山禅師様、可睡斎のご開山恕仲天誾大和尚様以下歴代の住職56名が祀られています。その中の4名が日本曹洞宗の大本山である、永平寺、總持寺の禅師様になられています。
高祖廟(こうそびょう)
「高祖」とは、永平寺を開いた道元禅師様のことを、「廟」とは、お骨をお祀りしている霊廟のことをいいます。道元禅師様は今から約660年前の1253年に亡くなられ、永平寺に全てを祀っていましたが、何度か火災があって分骨することになり、縁あって可睡斎にお祀りされることとなりました。可睡斎の住職が、毎朝部屋でお経をあげていましたが、第55世伊東盛煕和尚が「拝観される皆様にお手を合わせて頂いた方が道元禅師様もお喜びになられましょう」ということで、平成16年から参拝頂けるようになりました。
大庭園
枯山水の大庭園は「法華蔵界の池(はちすのいけ)」と呼ばれています。過去から現在を見ることができる浄玻璃の池、「心」の字を現す異形心字池、未来の自分を映す鏡石、内省を促し、苦しみから解脱させようとする解脱石、慶賀を象徴する亀石、仏の石とも呼ばれる羅漢石が配され、極楽の世界と仏法の盛んな様子を表現しています。
宝物館
徳川家康関連の資料、護国塔、明治天皇にまつわる資料、羽柴秀吉の直筆の古文書、インゲン豆を日本に伝えたとされる隠元禅師の掛け軸など、数々の寺宝の一部を随時、適宜に展示しています。なかでも、わが国の建築設計の大御所といわれる伊東忠太氏が設計し、50分の1のスケールで作成された幻の護国塔復元モデルは、見る人を惹きつけます。
位牌堂
位牌堂は、本堂から地下通路で繋がっており、檀家のご先祖様、戦死病没、可睡斎縁りの方々の霊が、観音様に守られてお祀りされています。静謐な堂内に僧侶のお勤めの声が響きます。
可睡斎の境内(屋外)はご自由にご覧いただけます。10万坪の広大な境内は、四季折々の豊かな自然の中、歴史と祈りの建造物をたどる散歩道となっています。>境内案内へ